ブログ記事『見込みリードをアポに変える温度感別アプローチ』のイラスト

見込みリードをアポに変える温度感別アプローチ

“察する力”が、アポ率を左右する。営業に必要な「温度別・3つの進め方」。

最終更新日:2025年7月4日

なぜ、アポの一歩手前でいつもつまずいてしまうのか

「関心は持ってくれていそうだけど、アポにはなかなか応じてもらえない…」
「手応えを感じたのに、“またこちらから連絡しますね”で終わってしまった…」
――営業活動において、こうした“惜しいすれ違い”は少なくありません。

その原因は、情報の質や熱意ではなく、
「相手の温度感に合ったコミュニケーション設計ができていなかった」ことかもしれません。
ここでは、見込みリードをアポへと導くための「温度感別アプローチ」の考え方をご紹介します。
アポ取得に悩むすべての営業パーソンに、ぜひ参考にしてほしいアプローチです!

リードとは?
リード(Lead)とは、将来的に顧客になる可能性がある見込み客のことを指します。マーケティングの文脈では、資料請求やお問い合わせ、セミナー参加など、何らかの形で接点を持った相手を「リード」と呼び、その後の営業プロセスで“アポ”や“成約”に育てていきます。


アポにつながらないのは「察し」が足りないせいかも

見込みリードと呼ばれるお客さまは、一律ではありません。
「すぐに話を聞きたい」
「関心はあるけど、まだ情報収集中」
「なんとなく興味はあるけど、今じゃない」など、相手によって温度感は千差万別です。

しかし、営業側がそれを察知せず、
いきなり踏み込んだ提案や日程調整に入ってしまうと、
「いや、まだそこまでじゃないんだよな…」という温度差が生まれてしまいます。

この“温度のズレ”こそが、アポが取れない最大の要因のひとつです。


相手の「温度感」、見極められていますか?

では、その温度感はどうやって見極めるのか?
必ずしも高度な分析スキルが必要なわけではありません。
ちょっとした反応の違い質問への返答から、相手の関心度は見えてきます。

たとえば――

  • こちらからの問いかけに対して、具体的な悩みや課題を話してくれる → 温度高
  • 情報提供へのお礼や「また連絡ください」という言葉 → 温度中
  • 「ありがとうございます」「検討します」など表面的な返答のみ → 温度低

このように、相手の言葉の「濃度」や「能動性」を見ることで、現時点の温度感はある程度つかめます。

温度感の違いを無視してアプローチをかけてしまうと、
「タイミングが早すぎる」「押しつけがましい」「ズレてる」といった印象を与え、
せっかく近づきかけていた距離が、かえって開いてしまうことも。
営業の基本は「会って話すこと」ですが、その“一歩手前”にある温度感を読み取り、
そこに適したアプローチをすることで、アポ取りの成功率は大きく変わります。


温度別・アポまでのシナリオ3パターン

「温度感に応じたアプローチ」と言うと、なんだか難しそうに聞こえるかもしれません。
でも実際には、最初から完璧な対応をする必要はありません。

ここでは、温度感の3段階に応じたアポ獲得の「会話シナリオ設計」のヒントをご紹介します。
「誰にでも同じトーク」ではなく、“その人に合った道筋”を描くことがポイントです。

【温度:高】 いま困っている/比較検討中
この層には、“具体的な提案”を惜しまず届けるべきタイミングです。
相手が興味を示しているポイントを明確にし、
「それなら、こういう話ができます」と提示できれば、自然とアポ設定に進めます。

例:「〇〇の課題については、当社が支援した事例もあるので、詳細をご案内できればと思います」

→「来週少しお時間いただけますか?」

【温度:中】 関心はあるが情報収集中
この層には、“判断材料の提供”を意識したコミュニケーションを。
無理に引っ張ろうとせず、相手が「もう少し詳しく聞いてみようかな」と思うような
興味を持てる“情報の種”をまくことが重要です。

例:「〇〇のトピックで、今注目されている動きがあるんですが、他社でも同様の声が増えていまして」
→「簡単にポイントだけ整理した資料、お送りしますね」
その後、相手の反応を見て、“次の一手”を組み立てます。

【温度:低】 興味は薄い/そもそも忙しい
この層には、“軽い接点作り”がベター。無理にアポ設定を目指すよりも、
「この人、感じがいいな」「またタイミングが合えば話してみよう」
そう思ってもらえる存在になるのが、まずは大切な第一歩です。

例:「この件ではお忙しいところ恐れ入ります。お時間あるときにご覧いただければと思います」
→「また様子を見て、改めてご連絡させていただきますね」
この層は、すぐにアポにはならなくても、将来的な商談につながる芽でもあります。


NGなのは「いきなり結論」型の誘導

反対に一番危険なのは、相手の温度感を無視して、
とにかく押して押して押しまくる!タイプの営業スタイル。
いきなり「この商品どうですか?」「一度会ってもらえませんか?」
と畳みかけると、相手は警戒心を抱きます。
たとえ魅力的な提案でも、“流れが早すぎる”と感じた時点で、
心のシャッターは下りてしまいます。

見込みリードに対しては、
「会ってもいいかな」と思ってもらうための“理由づくり”
焦らず丁寧に積み上げることが何よりも成功の鍵です。


「今の温度」に合った“会話ストーリー”を

営業においては、「商品を売る」前に、
「会話の糸口をつくる」ことが最初のハードルです。
そして、それを乗り越えるためには、
「相手の温度感を察し、その温度に合った進め方を選ぶ」ことが不可欠です。
アポが取れないとき、原因は提案内容よりも“設計ミス”にあるのかもしれません。
ひとつの型にはめず、「この人には、このストーリー」と丁寧に向き合うことが、
アポ取り成功率の向上、そして信頼関係構築につながります。

この記事を書いた人

渡辺 純

 

リコーが運営するオウンドメディアの編集長。

『RICOHビジネスクラウド:アポ取り』のプロダクトマネージャー。


新人の頃はリコージャパンで新規開拓の営業を経験し、雑談力を武器に独自の営業スタイルを確立。その後、リコーでクラウドソリューションの海外マーケティングを担当し、海外支社に対して商品立ち上げや販売施策を展開。学生時代はオランダで10年ほど過ごした帰国子女。趣味はバドミントン(社会人大会に出場)とスノーボード。

プロフィール画像