営業における顧客管理とは?重要性や売上向上を実現する手順、おすすめツールを紹介
顧客のニーズが多様化している現在、営業活動においても顧客管理をする必要性が高まっています。顧客管理の方法は会社により異なりますが、エクセルやCRMシステムを利用している企業も多いことでしょう。
この記事では、営業部門が顧客管理をすることの必要性や手順、利用すべきツールについて解説します。
営業における顧客管理とは?
営業における顧客管理とは、顧客の基本情報、購買履歴、問い合わせ内容、過去のやり取りなどを管理することです。
顧客の情報や顧客とのやり取りの履歴に関する情報を一元管理することで、顧客に合わせた営業活動ができるようになると言われています。
注意すべきことは「顧客情報を管理すること」を目的にしてしまうと、売上や受注の増加といった営業成果にはつながらないという点です。
顧客管理に取り組む際には顧客情報の管理方法はもちろん、どのようなデータを収集して、どのように活用するのかまで考えておくことが重要です。
CRMが登場して数十年経過した現在、データ収集、データ分析、データ活用などの自動化が進められており、次世代CRMとも言えるテクノロジーが登場しています。
「目的は顧客を管理することではなく、営業成果を上げることである」と考えている方は、次世代CRM 「RICOHビジネスクラウド 営業DX」の情報も併せてご確認ください。
なぜ顧客管理をする必要があるのか?
顧客管理が営業活動において重要とされる理由として、以下の4つが挙げられます。
顧客体験を毀損しないため
新規開拓営業よりも既存深耕営業の方が費用対効果が高いため
顧客ニーズを正確に掴むため
収益性が向上するため
それぞれの必要性について詳しく解説します。
顧客体験を毀損しないため
顧客管理を適切に行うことで、過去の関係性に基づいた適切なコミュニケーションが可能です。逆に顧客情報が管理・共有されていない場合、顧客体験を毀損してしまうリスクが高まります。
例えば、顧客情報が社内で共有されていないと、購入直後の顧客に他の担当者がアプローチしてしまい、顧客の不信感を招く可能性があります。
顧客からの不信につながるリスクを回避し顧客との信頼関係を築くためには、顧客情報を適切に管理する必要があります。
新規開拓営業よりも既存深耕営業の方が費用対効果が高いため
マーケティング・セールスには「1:5の法則」というものがあり、新規開拓営業は既存深耕営業の5倍のコストがかかると言われています。
つまり、既存顧客の満足度を向上させてリピートセル、アップセル、クロスセルを増やすことで、費用対効果の高い営業活動が可能となります。
また、2015年にアメリカのアドバイザリー会社であるシリウスディシジョンが実施した調査によると「営業担当者が失注と判断した顧客の8割は2年以内に競合他社の製品を購入する」という調査結果もあります。
参照:日経X TECH「第34回 放置した見込み顧客の8割が2年以内に競合に流れる?」
顧客管理を適切に実施し、既存顧客からの売上拡大や失注商談の掘り起こしなどに活かすことができれば、営業組織にとって大きな成果向上の機会となりえます。
顧客データを収集・分析することで顧客のニーズに対する理解度を深め、適切な営業活動をすることができます。
顧客ニーズを正確に掴むため
顧客との連絡内容やタイミング、受注理由、失注理由などのデータを蓄積し、分析することができれば、顧客ニーズをより正確に理解できます。
どの業界や部署、役職の人に商品やサービスが売れやすいのか、またはLTV(顧客生涯価値)が高いのかなどの傾向が分かれば、営業活動の成功率を高められます。
具体的には、顧客の属性やWeb閲覧やメール開封の履歴、購買履歴や営業担当者とのやり取り内容を把握することで、顧客が求めている商品やサービス、購入のタイミングなどを把握できる可能性があります。
収益性が向上するため
顧客体験の向上や顧客ニーズを把握することで、以下のような効果が期待できます。
顧客の離反を防ぎ、ロイヤリティを高める
営業活動のコスト効率が向上する
商談化率・受注率が向上する
ただし、顧客情報を正確に収集し、データを分析し、営業方針を定め、現場の行動に反映するということは非常にハードルが高く、収益性向上まで実現するのは困難を極めます。
その困難さの根本的な原因には「データ入力が面倒で入力のばらつきが生じる」「自社の営業体制に合わせたカスタマイズが難しい」という点が挙げられます。
上記のような課題解決のために、顧客情報を自動的に分析して営業の行動に変換するテクノロジーが広がりつつあります。「先に結論だけ知りたい」という方は、「顧客情報を営業成果に変えるセールスエンゲージメントプラットフォーム(⭐️ページ内リンクを挿入)」をご覧ください。
顧客管理を進める手順
顧客管理を進めるには、一般的に以下の4ステップがとられます。
顧客管理に必要な情報を定義する
入力・運用のルールを決める
自社の目的や運用にマッチしたツールを導入する
顧客情報を適切に更新・管理する
それぞれの手順について詳しく解説します。
顧客管理に必要な情報を定義する
顧客管理を始めるにあたって、まず必要な情報を明確にします。適切な顧客管理をするためには、一般的には以下の情報が重要です。
属性情報:顧客の基本的な情報(氏名、会社名、役職など)
アプローチ履歴:営業担当者が行った連絡や訪問の記録
商談履歴:商談の内容、進捗状況、結果など
購買履歴:過去の取引内容や金額
問い合わせ履歴:顧客からの問い合わせ内容とその対応
メルマガ購読状況:メールマーケティングの効果を測るため
上記の情報を収集し適切に管理することで、顧客理解を深め、効果的な営業活動につなげることができます。
入力・運用のルールを決める
顧客管理に必要な情報を定義したら、入力や運用に関するルールを決めます。具体的には、以下の点を明確にしましょう。
誰が:情報を入力する担当者を決める(営業担当者、管理者など)
いつ:情報を入力するタイミングを決める(商談後すぐ、日報作成時など)
どのように:入力する項目や形式を統一する
また、顧客管理ツールとWebフォームなどを連携させることで、顧客自身が情報を入力する仕組みを作ることも可能です。その結果、営業担当者の業務負担が削減でき、営業活動に専念しやすくなります。
一度入力した情報は定期的に確認・更新していく必要があるため、チェックに関するルールも決めておく必要があります。
自社の目的や運用にマッチしたツールを導入する
顧客情報を適切に管理するためには、自社の目的や運用に合ったツールを選ぶことが重要です。具体的には、以下の点を考慮してツールを選ぶことをおすすめします。
必要な機能:情報の入力、検索、分析などの基本機能
使いやすさ:社内での運用のしやすさ
拡張性:将来的な機能追加や他システムとの連携
コスト:初期費用や運用コスト
いきなり高機能なツールを導入するとコストもかかるため、自社の目的を明確にして必要な機能を選定してからツールを選ぶと良いでしょう。
顧客情報を適切に更新・管理する
最後に、定めた入力・運用のルールに従って、顧客情報を適切に更新・管理することが重要です。具体的には、以下の点に注意しましょう。
定期的な更新:情報の鮮度を保つため、定期的に更新する
情報の活用:蓄積した情報を分析し、営業戦略に活かす
セキュリティ管理:顧客情報の漏洩を防ぐため、適切なアクセス制限を設ける
顧客管理の目的は単に情報を収集するだけではないため、データを分析して営業方針を定めることが大切です。
例えば、成約率の高い顧客層や商談パターンを見出し、より効果的な営業活動につなげることができます。
営業の顧客管理に使用されるツール
最後に、定めた入力・運用のルールに従って、顧客情報を適切に更新・管理することが重要です。具体的には、以下の点に注意しましょう。
営業の顧客管理では、エクセル・スプレッドシートなどの表計算ソフトを利用する場合と顧客管理用のシステムであるCRMシステムを利用する場合があります。
それぞれのツールについて解説します。
エクセル・スプレッドシート
エクセルやスプレッドシートは、最も導入しやすく、コストを抑えて始められるツールです。
しかし、エクセルのローカルファイルで管理していると、どれが最新版かわからなくなる可能性があります。また、関数やマクロを使って効率化している場合、誤って壊してしまうと元に戻せないこともあります。
同時編集もできず入力にライムラグが生じたり、データ量が増えると動作が重くなることもあるため、大量の顧客情報を管理するツールとしては不向きといえます。
SFA/CRMツール
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理)ツールは、顧客情報や営業活動を管理するためのツールです。具体的には、SalesforceやHubSpotといったツールがあり、顧客管理に必要な機能を一通り備えています。
SFA/CRMツールは、顧客情報の一元管理や営業活動の可視化に優れている一方で、以下のような点がデメリットです。
データ入力の手間がかかる
自社の業務に合わせたカスタマイズが難しい
データの集計や分析が属人的になりやすい
SFA/CRMツールを導入する際は、デメリットを考慮し自社の状況に合わせてツールを選択することが大切です。
顧客管理で陥りやすい課題
顧客管理を進める上で、以下のような課題に直面することがあります。
情報を常に最新化することが困難
自社に合わせたカスタマイズが困難
情報を蓄積しても改善に繋がらない
それぞれの課題について詳しく解説します。
情報を常に最新化することが困難
手動で顧客データを入力する場合、入力ルールや更新ルールが徹底されておらず、入力漏れが発生する可能性があり、情報が古くなっていくことがあります。
情報を常に最新化するためには、なるべく手動入力を減らし、自動で情報が更新されるシステムを選ぶことが重要です。
例えば、メールやカレンダーとの連携機能があるツールを使えば、営業活動の記録を自動で更新できます。
自社に合わせたカスタマイズが困難
顧客管理ツールでは自社に合わせたカスタマイズが難しい点が課題の一つです。
例えば、CRMをカスタマイズする際には、システム開発の知識が必要なケースが多いです。CRMを導入する際は、初期費用やランニングコストだけでなく、CRM開発の知識を持った人材を確保するための人件費や開発コストも考慮しておく必要があります。
また、他の基幹システムと結びついているケースもあり、営業部門だけではカスタマイズが難しい点も課題としてあるでしょう。
ノーコードで簡単にカスタマイズできるシステムを選ぶか、自社での人材教育を強化するといった対策が必要になります。
情報を蓄積しても改善に繋がらない
単に顧客情報を蓄積するだけでは、営業生産性の改善や向上にはつながりません。適切にデータを分析し、その結果を営業活動に反映させる必要があります。
データを分析して営業活動を改善するには、データ分析の知見と現場に浸透させるマネジメントが必要となります。
しかし、営業組織ではデータ分析の知見や分析のためのリソースが不足しており、収集した顧客情報を活かしきれていない方も多いのではないでしょうか。
また、データを適切に分析し営業活動を改善する方針を定めても、営業担当者の行動に反映しきることは非常に困難です。
これまでの顧客管理には様々な課題があり、そうした課題解決のためにセールスエンゲージメントプラットフォーム(SEP)というテクノロジーがアメリカを中心に普及しつつあります。
顧客情報を営業成果に変えるセールスエンゲージメントプラットフォーム
これまで、顧客情報を活用して営業成果の向上を実現するためには、以下のような手順が必要でした。
顧客情報を正確に収集する
収集した顧客情報を分析可能な形に整理する
整理した顧客データを分析する
分析結果に基づいて営業活動の改善方針を決める
営業活動の改善方針を営業担当者に伝え、浸透させる
上記の手順それぞれに実現が困難な要因があり、顧客管理をして営業成果を上げることは非常に困難でした。しかし、セールスエンゲージメントプラットフォーム(SEP)の出現でそうした状況は変化しつつあります。
セールスエンゲージメントプラットフォーム(SEP)は、顧客のフォローアップを自動化し、今実施すべき営業のアクションを自動提案するなどの機能が組み込まれており、営業担当者の行動をサポートしてくれるテクノロジーです。
営業業務をAIで幅広くカバーできるため、営業データの主導入力も削減することができます。
また、必要最小限の顧客管理機能も有しているため、CRMを導入していない企業でも利用が可能ですし、CRM連携をすることで顧客データを自動で更新していくこともできます。
顧客情報の収集・整理・分析をテクノロジーが代替し、営業活動を自動化したり自動提案してくれるため、これまでデータ収集・分析・方針立案・メンバーへの指示などに費やしていた労力も大幅に削減できます。
日本ではまだ聞き慣れない言葉かもしれませんが、CMRの普及率の高いアメリカでは、セールスエンゲージメントプラットフォームという新たなソリューションがすでに一般的になってきています。
まとめ
顧客管理を適切に実施することで、営業成果の向上や収益性向上を実現することが可能となります。
顧客管理を実施するためには、管理に必要な情報を明確にして、運用ルールを定め、自社の運用に適したツールを導入する必要があります。
しかし、従来の顧客管理ツールでは手動でのデータ入力を前提としているため、現場で活用されず営業成果の向上につなげられないという課題がありました。そのため、セールスエンゲージメントプラットフォームという新たなセールステクノロジーが台頭しています。
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