CRMシステムの導入が失敗する要因とは?成功させるための対策も解説
顧客管理を効率化するためにCRMを導入したいと考えている営業責任者・経営者の方も多いのではないでしょうか。
CRMシステムは1990年代初頭に登場して以来、マーケティング・セールスにおけるITツールの中心的な存在と考えられてきました。
しかし、デジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性が唱えられている現在、CRMシステムだけでは業務変革や成果向上が困難であることにも多くの企業が気づき始めています。
本記事では、CRMシステム導入の失敗例とその要因を詳しく解説し、営業DXを実現するために何が必要なのかという点についても紹介します。
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CRMシステムの概要
CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客との関係性を良好に保つために顧客との関係性を管理する取り組みです。CRMシステムは上記を効率的に実現する機能を持ったソフトウェアシステムを指します。
CRMシステムを適切に導入・活用することで、効果的なタイミングで顧客にアプローチしたりニーズに則した提案ができるようになります。しかし、CRMシステムの導入によって業績向上を実現できている企業は極めて稀であるというのが現状です。
多くの顧客を抱える企業にとって、CRMシステムは顧客データの宝庫となり得ます。一方で、データ設計・データ入力・データクレンジング・データ分析などの作業を適切に実施する知見と人員がなければ、宝の持ち腐れとなってしまいます。
CRMシステムを導入する際には、単に「顧客情報をデータとして保有する」ということを目的とせず、「顧客との関係性をデータとして可視化し、業績向上につなげる」という最終的なゴールを見据えて取り組むとよいでしょう。
CRMシステムの導入における失敗例
続いて、CRMシステムの導入における失敗例を3つほど紹介します。
現場に浸透しない
ほとんどの企業がCRMシステムが現場に浸透しないという問題に直面します。CRMシステムが現場に浸透していない場合は以下のような事象が見られます。
CRMシステムの使用に対する抵抗感や負担感が強い
日常業務でCRMシステムを活用する習慣が定着していない
CRMシステムを使用する意義が現場レベルで理解されていない
CRMシステムの利用が一部の部門や個人に限られている
「CRMデータを入力することが好きだ」という営業担当者はおそらく存在しないでしょう。営業担当者にとっては新しく導入されたツールの操作方法を覚えることや日々のデータ入力は単なる負担としか捉えられていないためです。
そのため、CRMシステムを導入を成功させるには、現場の営業担当者にとってのメリットや導入の目的を社内に説きながら進めることが不可欠です。
日本よりも遥かにCRMシステムが普及しているアメリカでは、ルール通りにCRMデータを入力しない社員を減給対象とするケースも多く、CRMシステムの浸透を徹底しています。
日本企業の文化では上記のような制度設計は難しいケースが多いと思います。そのため、各営業担当者が能動的にデータ入力をする仕組みづくりや文化の醸成したり、そもそもデータ入力の負担を極限まで少なくする工夫などが求められます。
データ入力・管理の不備
CRMシステムの効果を最大限に発揮するには、正確で信頼性の高いデータが不可欠です。
しかし、データの入力や管理が適切に行われないことで、CRMシステムが有効活用できていないといったケースがよくあります。不正確または不完全なデータは、誤った分析や意思決定につながる危険性があります。
以下の内容は、データ不備の一例です。
データの重複や欠損
自由記述など、標準化されていないデータ形式
打ち間違い・うろ覚えによる不正確なデータ
部門間でのデータの不整合
上記のようなことは人間がデータ入力を行う以上、必ず発生する事象です。
対策としては、データ入力のガイドライン策定と教育、定期的なデータの整理などに取り組む必要があります。あるいは、データ入力自体を自動化できるような、ヒューマンエラーが起こりづらいシステムを検討するとよいでしょう。
データ活用ができない
CRMシステムに蓄積されたデータは、適切に分析し活用することで初めて価値を生みます。しかし、多くの企業でデータの収集に力を入れる一方、その活用が不十分であるケースが見られます。
これは、CRMシステムの投資対効果(ROI)を大きく損なう要因となります。
データ活用ができていない背景には以下のような要因があります。
欠損・打ち間違い・重複などデータの不備がある
テキストデータが多く、定量的な分析が困難
分析に資するデータを抽出するのに多大な工数がかかる
データクレンジングやデータ分析の知見がない
データ分析をして方針を決めても現場の行動に反映できない
これらの課題を解決するためにはデータ設計からデータ分析の知見はもちろん、分析から得た示唆を現場の行動に反映するマネジメント力やリーダーシップも必要となります。
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CRMシステムの導入で失敗する要因と対策
CRMシステムの導入の過程で不備があれば、CRMシステムの導入は失敗します。ここでは、CRM導入時に失敗する要因と、それらへの対策をご紹介します。
明確な目的がない
CRMシステムに限らず、システム導入の際には明確な目的が必要です。
注意すべきことは「顧客情報を一元管理したい」というのは手段であり、目的ではないということです。CRMシステムを導入することで、どのような効果を得たいのかを明確にすることが重要です。
目的設定を適切に行うためには、以下のような手順を踏むことが重要です。
CRMシステム導入によって達成したい具体的な目標を設定する
(例:顧客満足度の10%向上、営業生産性を20%改善など)目標達成のために必要な戦略・施策を考える
上記施策の実行・評価のために必要なデータを定義する
目標達成に向けた定常的なモニタリングの仕組みを整える
これらのステップを踏むことで、CRM導入の目的が明確になり、効果的な活用につながります。また、目的設定のプロセスに現場の声を取り入れることで、導入後の浸透もスムーズになります。
従業員に対する教育不足
CRM導入の失敗要因として、従業員に対する教育不足も大きな問題です。日々の業務に追われる中で新しいシステムの使い方を学習する時間を確保することは難しいことです。
十分な教育を施せないと、CRMシステムの機能を十分に活用できません。教育不足は、システムの効果的な活用を妨げるだけでなく、従業員の抵抗感や不満を増大させる要因にもなります。
教育を施すには、研修の作成〜実施が必要ですが、システム導入のたびに実施していたら多大なコストがかかってしまいます。
ただでさえ、営業担当者はチャットツール、メールシステム、CRM、SFA、MA、タスク管理ツールなど、複数のツールを使いこなさなければならないケースが多いため、研修の実施は大きな負担となるでしょう。
この問題に対しては、営業活動に必要なあらゆるツールと連携して営業業務を実行できるシステムを導入することが有効です。単一のツールで営業活動に必要な業務をすべて実行することができれば、当該ツールの研修のみを行えばよくなります。
運用管理者が不明確
CRMシステム導入の失敗要因の一つに、運用管理者が明確に決まっていないケースがあります。
CRMシステムは複数の部門で使用されるツールです。管理者が決まっていないと、システムの維持管理を適切に行うことが困難になります。
運用管理者を明確に定めなかった場合、各部門が独自のルールでデータを入力してしまい、結果として全社的な顧客情報の一元管理ができなくなるといったことが起こります。また、システムの不具合や改善要望に対する対応が遅れ、ユーザーの不満が蓄積することにもつながります。
CRMシステムを導入する際はシステムやデータについて知見のある人材を運用管理者に登用しましょう。
過剰なカスタマイズ
企業によって扱う商材も営業活動のプロセスも様々です。
そのため、企業特有の業務プロセスに合わせようとするあまり、CRMシステムを必要以上にカスタマイズしてしまうケースがあります。
過剰なカスタマイズは、システムの複雑化や保守コストの増大、さらにはアップデートの困難さなどの問題を引き起こす可能性があります。
必要最小限のカスタマイズに留めることで、CRMシステムの柔軟性と拡張性を維持することができます。
また、システム選定の際に検討中のシステムが自社の営業業務にマッチするのかを見極めることも重要です。
部門間の連携不足
CRMシステムは全社で利用するツールのため、部門横断で活用に取り組む必要があります。
各部門が独自の方法でCRMを使用したり、データを共有しなかったりすることで、顧客体験を毀損したり、売上向上の機会を逃したりする可能性があります。
例えば、1人の顧客に対して異なる部署から同時に連絡してしまうことで不信感につながったり、顧客サポート部門の情報が営業部門に共有されないことでクロスセル・アップセルのチャンスを逃したりするといったことが考えられます。
部門間の連携を強化するためには、部門横断でCRMシステムの活用について取り決めておく必要があります。また、部門を超えた顧客中心のKPI設定ができるとよいでしょう。
CRMシステムの構造的欠陥
ここまで、CRMシステムの導入が失敗する要因と対策を見てきましたが、すべてに対して対策をしてもCRMシステムの構造的な欠陥を克服することはできません。
CRMシステムは担当者がデータ入力をすることで、マネージャーや意思決定者のマネジメント業務を効率化するという構造になっています。
そのため、CRM導入・活用について完璧に対策をしたとしても、担当者の業務自体は効率化されません。それどころか、担当者の負担が増えるケースも多くあります。
上記のような課題を解決するためには、CRMシステムに代わる新しい解決策が必要となります。
CRMシステムに代わるソリューションの台頭
ここまで見てきたようにCRMを導入・活用するには超えなければならない壁が複数あります。さらに、すべての壁を乗り越えても、CRMシステムが持つ構造的な欠陥を克服することはできません。
そのため、CRMシステムの普及が進んでいるアメリカではあらゆる営業ツールと連携して、営業担当者の業務自体を自動化・効率化する新たなソリューションが台頭しています。
アメリカの調査機関であるガートナー社はこのトレンドを「セールステック第三の波」と称しており、その中心的な存在がセールス・エンゲージメント・プラットフォーム(SEP)というカテゴリーです。
SEPとは何か?
SEP(セールス・エンゲージメント・プラットフォーム)は、営業活動の効率を高める機能が搭載されたシステムです。
主な機能としては以下のようなものがあります。
必要最低限の顧客管理・案件管理機能
顧客フォローアップの自動化
今フォローすべき案件の自動提案
他のツールとの連携
チャットツールやメールソフト、CRM/SFA、MAツール、カレンダー、日程調整ツールなど、営業活動で利用するあらゆるシステムと連携することで単一のUIで営業活動を実行・管理できるようになる点も大きな特徴です。
これまで営業担当者は複数のツールを横断しながら営業活動をおこなう必要がありました。しかし、SEPを導入すると、SEPの画面操作だけで営業業務が完結します。
SEPを導入することで実現できること
SEPを導入した場合、営業担当者の1日は以下のようなものになります。
出社をすると、すでにリマインド連絡のメールが複数の顧客に送られており、カレンダーにアポイントが入っている。
SEPを起動すると、画面に「今フォローすべき案件」が優先順位に応じて並んでおり、そのアクションを実行すれば成果が出る状態になっている。
営業担当者が操作するシステムはSEPのみで複数の画面を横断する必要がないため、スムーズに営業業務を遂行できる。
SEPを利用することで営業活動における煩雑な業務はシステムが代替するため、営業担当者は顧客とのコミュニケーションや提案の質を高めることに集中できるようになります。
無料から利用できるSEP「RICOHビジネスクラウド 営業DX」
これまでSEPの導入には大きな投資が必要でしたが、「RICOHビジネスクラウド 営業DX」は1名であれば無料で利用可能です。
SEPの基本的な機能に加え、日程調整の自動化、提案書作成の自動化、フォーム作成機能など営業活動の大部分をAIでカバーします。
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まとめ
CRM導入の成功には、明確な目的設定、適切なシステム選択、従業員教育、そして継続的な改善が不可欠です。
しかし、いくらCRMシステムの導入に対して精力的に取り組んでも「営業担当者が入力の工数をかけてデータを取得する」という構造は変えることができません。そのため、CRMシステムは営業業務を効率化するどころか担当者の負担は増える可能性が高いということも忘れてはいけません。
CRMシステムを導入する際は、営業担当者のリソースをある程度奪うものであるという前提に立ち、それと引き換えにしてでも得たいメリットを明確にするようにしましょう。
営業生産性の向上や業績の向上を目的としているのであれば、営業担当者の行動を支援するシステムであるSEPの導入も検討することをおすすめします。
RICOHが提供する「RICOHビジネスクラウド 営業DX」は、問い合わせフォーム設置やアポ取り、提案書・見積書作成まで、営業に必要な業務を一元管理できます。