
新規プロジェクト担当者、必読! #03
ユーザーインタビュー、最初に聞くべき“たった3つの質問”
数よりも「質と深さ」にこだわって、相手の本音を引き出す。
最終更新日:2025年7月4日
あなたのインタビューはなぜ上手くいかないのか
「ユーザーインタビューって、何を聞けばいいのかわからない」
そんな声をよく耳にします。
質問リストを20個、30個と作っても、相手の答えは上滑りするばかり。
本当に聞きたい重要なポイントに踏み込めないまま、
時間ばかりがどんどん過ぎていき、空気も気まずくなっていく…。
質問が多すぎると、相手の頭の中には「何を聞かれるんだろう?」「長くなるのかな?」と、
無意識の防御反応が生まれてしまいます。
一番良くないのは、
「この人、いったい何が聞きたいんだろう?」と相手に思わせてしまうこと。
質問の狙いが絞り切れていない散漫なインタビューは、
往々にしてこういう印象を相手に与えてしまいがちです。
質問はたった3つでいい
実は、聞くべき質問は3つに絞った方が、
相手の本音に近づけることが多いんです。
インタビューの冒頭で、「今日お聞きしたいポイントは3つです」と伝えると、
相手は「それなら話してもいいかも」と自然とリラックスしてくれます。
“量”を捨てて“深さ”を取る。だからこそ、本音が見えてくる。
この“3つに絞る”インタビュースタイルは、開発やマーケティング領域だけでなく、
営業のヒアリングにもそのまま応用可能。
要点を押さえたシンプルな聞き方こそ、相手の温度感やニーズを引き出す近道です。
インタビュー前に押さえておきたい2つの準備
3つの質問を組み立てる前に、まず「仮説」と「ゴール」を設定しましょう。
「仮説」はインタビューのスタート地点、
「ゴール」はインタビューを通して到達したい目的地と言えるものです。
仮説:相手に期待する課題感を仮置きする
「この人は〇〇に困っているかも」
「△△を便利にしたいと思ってるはず」
そんな仮説を持っておくことで、質問の角度や言葉の選び方が変わってきます。
答えを誘導しない程度に、自分なりの想定を持っておくことは大切です。
ゴール:今回のヒアリングで得たいことを明確にする
「商品導入の背景を知りたい」
「現状の不満を聞き出したい」
「意思決定の流れを探りたい」
など、今回のヒアリングを通して
“最低限わかっておきたいこと”を明確にすると、ブレずに進行できます。
最初に聞くべき“たった3つの質問”テンプレート
「仮説」と「ゴール」が明確に設定できたら、
あとは基本的なテンプレートに沿って3つの質問を行えばOK。
ここでは、実際のインタビュー現場でも営業現場でも使える、
「たった3つ」の問いの型をご紹介します。
ベースにあるのは、有名なSPIN話法の要素を取り入れた構成です。
① 状況の確認(S=Situation)
「今、〇〇についてはどんなふうに対応されていますか?」
まずは現状を知る。相手の業務やツールの使い方など、
事実ベースの話をしてもらうことで、リズムがつかめます。
② 困りごとの掘り下げ(P=Problem)
「もしご不便を感じるとすれば、どのあたりでしょうか?」
ここで一歩踏み込んで、今のやり方で感じている小さなモヤモヤを聞き出します。
ポイントは、「絶対困ってますよね?」ではなく、
「あれば教えてください」のスタンスでいること。
③ 理想や期待のヒアリング(N=Need-payoff)
「もしもっと良くできるとしたら、どんな形が理想ですか?」
未来に目を向けてもらい、本人の理想像を語ってもらいます。
ここまでくると、単なる“機能要望”ではなく、“価値への期待”が見えてきます。
SPIN話法とは?
営業トークのフレームワーク。【S】Situation(状況)【P】Problem(問題)【I】Implication(影響)【N】Need-payoff(価値)の順に質問を重ねて、相手のニーズを引き出す会話法です。(今回はそのうちのS・P・Nを活用しています)
3つの質問を活かすための3つのコツ
テンプレに沿って…と言ってもただ漫然と質問するだけではなく、
相手が“話しやすい空気を作ることが大切です。
- 質問は短く、語尾は軽く
→「〜されてますか?」「〜と感じたりします?」くらいの柔らかさで。 - 相手が話し終えるまで、黙って待つ
→ 沈黙が怖くても、言葉が出てくる“間”を奪わないこと。 - 追加質問は「聞いてたよ」のサインを添えて
→「さっきおっしゃってた〇〇ですが、もう少し詳しく伺ってもいいですか?」
大切なのは質問の「数」ではなく、「深さ」です。
たくさんの質問を準備するよりも、
「この3つを、どうやって深く聞き出すか?」に集中する方が、ずっと手応えがあります。
それは企画や開発のユーザーインタビューだけではなく、
営業の商談にも同じことが言えるはずです。
丁寧に3つの質問に向き合えたとき、
相手の“温度感”と“本音”が、ふと垣間見える瞬間が訪れるはずです。