ブログ記事『資料より“空気”が大事?上司に効く共感の伝え方』のイラスト

資料より“空気”が大事?上司に効く共感の伝え方

 “その上”まで届く、語らせるプレゼン設計術とは。

最終更新日:2025年10月15日


資料も数字も揃えたのに、なぜ通らない?

社内プロジェクトの上申や、お客様への提案など、
資料を作成してプレゼンを行う機会はたくさんあると思います。
資料はしっかりつくった。根拠も数字も、抜かりない。でも、反応は…

「うん、いいと思うけど…上にはどう説明しようか」

悪くはないけど、前に進まない。
──その“引っかかり”、実はあなたのプレゼンが足りないのではなく、

「上司が“その上”に語れるように設計されていない」

ことが原因かもしれません。


「数字だけ」でも、「共感だけ」でも足りない

新しい企画や提案が通らないとき、
「もっと根拠を出せってことか?」と資料を厚くしがちです。
でも、どれだけ数字やロジックで武装しても、プレゼンは通らないことがあるもの。
その理由はシンプルです。

あなたがプレゼンした相手もまた、
誰かにそれを説明しなければならない立場だから。

つまり、上司や顧客の担当者に対して必要なのは
「納得」だけではありません。
「自分がその上司に語れる言葉」が必要なんです。


共感×ロジック=“語れるプレゼン”の設計術

1.冒頭で「あるある」を投げ、空気をつかむ

ロジックの前に必要なのは、“上司の体験”と重なる空気。
たとえば──

「指示したのに、現場が全然動かない…そんなことありませんか?」
「数字を積み上げても、なぜか動かない相手っていませんか?」

こうした“あるある”は、「確かにね」という共感の導線になる。
ここで空気を合わせておくと、その後の展開が否定されにくくなります。

2.KPI・KGIを“語れるレベル”で入れる

共感のあとは、数字や指標を“上司が語れる形”で入れることが重要です。

  • 「まだ実績はありませんが、指標はこれに置いています」
  • 「短期では〇〇、中期では△△をKPIとしています」
  • 「成功定義は“□□が起きたら”と考えています」

この程度でOK。
上司が“自分の言葉で説明できるくらい”のロジック、
それさえあれば、企画は進みやすくなります。

3.“引用したくなる一言”を仕込む

プレゼンの中に、上司が“そのまま使いたくなる一言”を入れておくと強い。
たとえば──

「これは、“止まっているボール”を拾うためのプロジェクトです」
「今やらなきゃ、半年後には誰も振り向いてくれません」

こうしたキラーフレーズともいえる一言は、
上司がさらに上へ説明する際にそのまま使われることが多い。
つまり、記憶に残る言葉=伝播する言葉になるんです。


プレゼンは、「上司を動かす」より「語らせる」

上司を“納得させる”ことだけを目的にしていると、
企画そのものがウケても、そこ止まりになりがちです。

でも、「上司がその上司に語れる」ように設計されたプレゼンならば、
「おもしろそうだね」だけで終わりません。
プレゼンの受け手が、その先に向けて説明しやすいから“持っていってもらえる”のです。

プレゼンは、あなたが通すものではなく、「上司に語らせる」ための道具です。
大切なポイントは、この3点。

  • 資料はロジックだけじゃなく、「共感」で空気をつくる
  • 上司や得意先の担当者が、“その上”に語れるKPIや構成を渡す
  • 記憶に残る言葉を仕込んで、「語りたくなる企画」にする

相手に、“この話、ちょっと言いたくなるな”と思わせることができれば、
そのプレゼンは成功したようなもの。
上司の“向こう側”まで届くプレゼンは、
情報じゃなく、“共感+ロジック+伝播性”から始まります。

この記事を書いた人

渡辺 純

 

リコーが運営するオウンドメディアの編集長。

『RICOHビジネスクラウド:アポ取り』のプロダクトマネージャー。


新人の頃はリコージャパンで新規開拓の営業を経験し、雑談力を武器に独自の営業スタイルを確立。その後、リコーでクラウドソリューションの海外マーケティングを担当し、海外支社に対して商品立ち上げや販売施策を展開。学生時代はオランダで10年ほど過ごした帰国子女。趣味はバドミントン(社会人大会に出場)とスノーボード。

プロフィール画像