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新規プロジェクト担当者、必読! #08

共創は、“N=1”から始まる。最初の1人の見つけ方

仲間がいない時こそ、共感から始めよう。

最終更新日:2025年9月16日


「企画はある。でも、仲間がいない」

新規事業やプロジェクトの立ち上げ初期に
社内でよくある悩みと言えば・・・

「上司は“いいね”って言ってくれたけど、実際に動いてるのは自分ひとり」
「企画を話せる相手も、手伝ってくれる人もいない」
「今のメンバーだけでは、もういろいろと限界…」

そんなときに必要なのは、立派なチームでも完璧な組織図でもありません。
たった一人の共感者。

「それ、おもしろそうだね!」
「ちょっと気になるから、話聞かせて」
──そう言ってくれる“最初の1人”が現れるだけで、空気がまったく変わってきます。


“1人の共感”が、プロジェクトの突破口になる理由

当たり前ですが、どれだけ仕事ができる人でも
全ての仕事を完全に一人完結することは不可能です。
特に、新しいことを始める時には「共鳴してくれる誰か」の存在が、
心理的なブースターになります。

  • 「この人が面白がってくれたなら、自信を持っていいかもしれない」
  • 「一緒に考えてくれる相手がいる」だけで、想像以上に前へ進める
  • “上司に説明する資料”より、“共感してくれた仲間”の存在が説得力を生む

だからこそ、10人を巻き込む前に、まず1人。
共感とともに走り出せる仲間がいれば、プロジェクトは現実味を帯びて動き出します。


社内版“N=1マーケティング”という発想

「N=1マーケティング」という言葉をご存じですか?
もともとは「たった一人のユーザーを深く理解し、
その人にとって本当に意味のある価値を届ける」という考え方。

これを社内に応用してみると──
「たった1人の共創者を本気で見つけること」は、立派な“社内マーケティング”と言えます。

  • 何十人に広く浅く伝えるよりも、1人の“刺さる”共感を大切にする
  • 「巻き込み」じゃなく、「共鳴」から始める
  • その共感が、社内の空気をじわじわと動かしていく

つまり、「最初の1人を誰にするか」は、
プロジェクトにとっての初速とその文化を左右する、極めて重要な意思決定なんです。

N=1マーケティングとは?
「たった1人の顧客(N=1)を徹底的に理解し、その人の文脈やニーズに合った価値を届けるマーケティング手法」。広く浅くではなく、深く個別に向き合うことで、ファンや共感を生み出していくアプローチ。本記事ではこれを「社内の共感者探し」に応用した考え方として使用。


「最初の1人」を見つけるヒント

では、その“最初の共創者”は、どうやって見つければいいのでしょうか?
スキルや役職ではなく、注目すべきは感情と空気感です。

見るべきは、「温度感が合うかどうか」。

  • 話していて、ちょっとワクワクしてくれそうな人
  • まだ企画段階でも、耳を傾けてくれそうな人
  • 遠い部署でも、“空気感”が近そうな人

Slackでの発言、会議でのひとこと、日々のちょっとしたやり取りの中に、
「この人、なんか合いそう」が見え隠れしていること、ありませんか?

見つけたら、声をかけるときのポイント

  • なぜあなたに声をかけたのか」を伝える
  • 「詳しいから」じゃなく、「あなたの感性が、企画に響きそうで」
  • 「これ、一緒にちょっと遊んでみませんか?」という“実験”感覚

共感から始まる協力関係は、「お願い」ではなく「共有」から生まれます。


最初の1人がもたらす変化

たった1人でも、“共創の感情”が共有されると、プロジェクトの見え方が変わります。

  • 社内の温度が変わる:「あれ?あの企画、誰かと動き出してる?」
  • 上司の視線が変わる:「2人でやってるなら、ちゃんと考えようか」
  • 自分のメンタルが変わる:「これ、もう一人じゃない」

「共感してくれる誰かがそばにいる」──その事実は、行動の原動力になります。


共創は“共感の熱量”から始まる

最初から多くの人を巻き込んで、大々的なプロジェクトとして
華々しくスタートを切ることを目指す必要はありません。
「この人なら、一緒にやれるかも」という、その感覚を信じて、
一緒に楽しんでくれる人を見つけることから始めてみること。

プロジェクトの第一歩は、企画書でも報告資料でもなく、
「一緒にやってみたい」と思ってくれる誰かを見つけること。
だからこそ、共創は“N=1”から始まるのです。

この記事を書いた人

渡辺 純

 

リコーが運営するオウンドメディアの編集長。

『RICOHビジネスクラウド:アポ取り』のプロダクトマネージャー。


新人の頃はリコージャパンで新規開拓の営業を経験し、雑談力を武器に独自の営業スタイルを確立。その後、リコーでクラウドソリューションの海外マーケティングを担当し、海外支社に対して商品立ち上げや販売施策を展開。学生時代はオランダで10年ほど過ごした帰国子女。趣味はバドミントン(社会人大会に出場)とスノーボード。

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