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新規プロジェクト担当者、必読! #10

「何やってるか分からない」と言わせない、進捗共有が信頼を生む理由

“成果”ではなく“見える化”こそが信用残高になる。

最終更新日:2025年10月1日


実績が出る前に、信頼される人は何をやっている?

新しいプロジェクトを立ち上げて、ようやく少しずつ動き始めた。
ゆっくりとではあるけど、前進している実感はある。でも──

「あの人、今なにやってるんだろう?」
「なんか忙しそうだけど、どうなってるのかよく分からない…」

社内にそんな空気が流れていること、ありませんか?

成果が出る前のタイミングほど、
自分が“何をしているか”を可視化することが信頼をつくります。
その最もシンプルで効果的な方法が、「進捗の共有」です。


信頼は「成果」ではなく「透明性」から始まる

人は、目に見えないものを信じづらいもの。
ましてや新規プロジェクトは、数字や実績が出るまでに時間がかかる。

でも、今どんな仮説を考えていて、どんな動きをしていて、何に迷っているのか──
そうした“途中経過”が見えるだけで、周囲の安心感はまったく違います。

完成していなくても、オチがない話でも、迷いがある状態でも、
見える」、それこどが信頼の入口。
言い換えるなら、透明性の積み重ねが信用残高になると言えます。

この「信用残高」という言葉は、
もともと証券取引や会計の世界で使われる用語で、
「信用取引の余力」や「貸方の残高」などを意味します。
本記事ではこの言葉を借りて、
“目には見えない信頼の預金”のようなものとして使っています。

たとえば、日々のSlackでの一言、社内報での共有、雑談の中でのひとこと──
そうした小さな発信の積み重ねが、
やがて「この人はちゃんと動いてる」「任せても大丈夫」という
“静かな信頼”を築いていく基盤になる。
それがここで言う“信用残高”です。


“進捗共有”の3つの効果

1.「存在感」が生まれる

Slackや社内報などで定期的に進捗を共有していると、
「何をやっている人か」が、自然に周囲に伝わっていきます。

誰かに“話しかけてもらえる状態”をつくるには、まず自分の輪郭を出すこと。
「見えている人」は、それだけでアクセスされやすくなるんです。

2.「巻き込み力」が高まる

進捗共有を続けていると、
「その件なら相談してみたい」「ちょっと協力できるかも」と、
周囲が“関わりしろ”を感じてくれるようになります。

情報を閉じている人より、開いている人のほうが、仲間になりやすい。
共創の種は、情報開示から芽吹きます

3.「思考の整理」になる(自分にとっても)

共有することは、考えを一度“人に伝える形”に変換する行為。
曖昧なまま進めていたものも、書くことで見えてくることがあります。

  • 今、自分が何に悩んでいるか
  • 何が進んでいて、何が止まっているのか
  • どこに他者の視点や助けが欲しいのか

情報発信は、思考の振り返りでもあります。


“進捗共有”は、こうすると効果的──3つの視点から

1.「途中報告」でOK。完成を待たない勇気

「これから◯◯を試してみます」
「ちょっとここで悩んでます」
「今日◯◯にトライして、反応はこんな感じでした」

進捗共有は、「完成したもの」や「正解」だけを出す場ではありません。
むしろ“途中経過”こそが、周囲に「この人、ちゃんと動いてるな」と思ってもらえる材料になるんです。

  • 失敗も、迷いも、成長プロセスの一部として見せる
  • “アウトプット志向”よりも、“プロセス開示志向”で考える
  • 迷っていることを開示すると、自然にフィードバックが集まりやすくなる

途中報告は、
「自分の進行状況を誰かと共有しようとしている姿勢」そのものが信頼を生むのです。

2.「定期投稿」で、“信頼の習慣”をつくる

一度の大きな共有よりも、小さな共有を“続けている人”の方が信頼されます。

  • Slackチャンネルで週1投稿する
  • Notionや社内報で「今週の進み具合」を書く
  • 「〇〇進行中です!」だけでもOK

定期性があることで、周囲は「いつ更新されるか」を無意識に期待します。
そしてその期待が裏切られなければ、「この人は信頼できるな」と感じてもらえる。
継続=信頼の証明です。頻度は週1〜隔週でもOK。
決まった曜日に“軽く投稿”するだけで、存在感は倍増します。

3.「温度感」をにじませると、人が寄ってくる

「ちょっと焦ってます(笑)」
「ここは楽しんでやれてます」
「あ、これはちょっと手応えあるかも…!」

そんなふうに、状況報告だけでなく、
今の自分の“感情の温度”を添えると、グッと共感が生まれます。

  • 無機質な報告ではなく、“人間っぽさ”がにじむ投稿にする
  • 感情表現があると、「あ、あの人に声かけてみようかな」が起きやすくなる
  • 結果的に、Slackでの軽い会話や偶発的なコラボが生まれやすくなる

温度感は、人と人との「心理的な距離」を縮める最短ルートです。


小さな見える化が、信頼をつくる

「自分(たち)はちゃんとやっている(つもり)」では伝わりません。
「動いてることを伝える」ことで、相手の安心につながり、
それが、「あの人に任せておけば大丈夫」につながっていくのです。

実績がない立ち上げ期というフェーズだからこそ、
“共有の丁寧さ”が信頼のバロメーター
信用は、進捗という名の“小さな発信”から積み上がるんです。

今日の共有が、来週の協力を生み、1ヶ月後の味方を育てるかもしれません。
だからこそ、「何も進んでないから出せない」ではなく、
「出すことで信頼が積み上がる」という逆算の発想を持ってみてください。

この記事を書いた人

渡辺 純

 

リコーが運営するオウンドメディアの編集長。

『RICOHビジネスクラウド:アポ取り』のプロダクトマネージャー。


新人の頃はリコージャパンで新規開拓の営業を経験し、雑談力を武器に独自の営業スタイルを確立。その後、リコーでクラウドソリューションの海外マーケティングを担当し、海外支社に対して商品立ち上げや販売施策を展開。学生時代はオランダで10年ほど過ごした帰国子女。趣味はバドミントン(社会人大会に出場)とスノーボード。

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