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“また今度”を“次のアポ”に変える、営業の3つの質問

アポに至らない見込み顧客の心を動かす、距離の詰め方。

最終更新日:2025年9月4日


アポが遠いのは“話しすぎているから”かも?

「ぜひまたご連絡をお待ちしています!」
「うーん・・・そうですね・・・時機を見てこちらから・・・」

そんな風に、やんわりと断られ続ける見込み顧客はいませんか?
相手から完全に拒絶されているわけではない。
でも、どうしても“もう一歩”が踏み込めない。

そんな時、営業側としてやりがちなのが──とにかく頑張って話すこと。
自社の強みを説明して、提案内容を整理して、導入メリットも補足して・・・。
でも残念ながら、それだけで状況が動くことはあまりありません。


話すより、訊く。問いかけで関係の温度は変えられる

そういう相手との関係性を変えるために必要なのは、
相手に“話してもらう”ことだったりします。

人は、自分のことを話したい(聞いてほしい)ものです。
でも、当たり前ですが誰にでも話したいわけじゃない。
「この人は、ちゃんと自分の話を聞いてくれる」──そう思えた時だけ、心を開きます。

だからこそ営業には、「話す技術」より「訊く技術」が必要です。
うまいプレゼンよりも、刺さる質問のほうが、相手の心を動かせるんです。


“聞き上手”が信頼を得る理由

「聞き上手」という言葉がありますよね。
あれは、ただ相づちが上手とか、うなずいてくれる人のことじゃありません。
本当の“聞き上手”は、

  • 相手の考えを引き出す質問を投げかけ、
  • 話すことで気づきを生ませ、
  • 「この人、わかってくれてる」と思わせる

そんな存在です。
営業の信頼は、「聞かれている」と感じさせるところから始まる。
だから、アポが遠いと感じる時こそ、
質問の質が問われるタイミングなんです。


質問で変える、3つの“温度感アップ”トリガー

ここでは、実際の営業現場でも活用できる
「アポに近づける3つの質問」を紹介します。

ポイントは、“答えたくなる問い”かどうか。
質問には、相手を気持ちよく話させる「型」があります。

【質問①】興味の種を探る

「最近、◯◯についてお客様からよくご相談いただくんですが、御社ではどんな感じですか?」
この質問は、「あなたはどうですか?」とストレートに聞くのではなく、
“他社でも注目されている話題”という共通言語をきっかけにしています。

「うちも実は気になってたんだよね」
「いや、うちはまだそこまでじゃないかな」
──どちらの答えが返ってきても、そのあとの話につなげやすくなる質問です。

【質問②】変化点をさりげなく掘る

「◯◯の取り組みって、昨年から何か変化ありましたか?」
「最近のご状況はどうですか?」では漠然としすぎて、答えにくい。
でも“変化”に焦点を当てることで、相手は過去と今を比べて話しやすくなります。
この質問の狙いは、

  • 業務の課題
  • 制度や体制の変更
  • 組織内のニーズの変化

といった“導入のきっかけ”になりそうなポイントを
相手の口から言わせることにあります。

【質問③】思いを引き出す“共感型クエスチョン”

「◯◯って、やっぱり皆さんご苦労されてますか?」
“共感”を先に提示する質問は、
「この人、現場のことわかってるな」と思わせる力があります。
この質問のポイントは、相手の悩みを“当たり前のこと”として聞くこと。
すると相手は、「そうなんですよ」「そこがネックで…」と
思いのほか素直に本音を出しやすくなるんです。


NG質問の代表例:「いかがでしょうか?」

ちなみに、やりがちだけどあまり効果がない質問がこれ。

「いかがでしょうか?」
「ご検討状況いかがですか?」
「改めてご意向、お伺いできますか?」

これらは全部、クローズドクエスチョン(Yes/Noで終わる質問)です。
もちろん場面によっては有効ですが、
アポに至らない相手に対しては、話を“終わらせる”方向に働きがち
会話の広がりが生まれず、関係も深まりません。
会話を“続かせる”質問を、意識的に選んでいきましょう。

オープンクエスチョン/クローズドクエスチョンとは?
オープンクエスチョンとは、相手が自由に答えられる質問(例「なぜそう思ったんですか?」)。クローズドクエスチョンは、Yes/Noや数字などで簡潔に答えられる質問(例「この商品を導入したことはありますか?」)。商談においては、オープン型で“会話を広げ”、クローズ型で“確認・絞り込み”をするのが基本の使い分け。


質問は、局面を変える“武器”になる

営業は、話す仕事。
そう思われがちですが、実は聞く技術こそが武器になる局面が増えています。
アポが取れない相手との距離を変えるのは、
情報提供でも、押しの強さでもなく、「その人の話を引き出せるかどうか」です。
質問は、相手の心をノックする最初の一手。
うまく訊ければ、アポは自然と向こうから近づいてくるかもしれません。

この記事を書いた人

渡辺 純

 

リコーが運営するオウンドメディアの編集長。

『RICOHビジネスクラウド:アポ取り』のプロダクトマネージャー。


新人の頃はリコージャパンで新規開拓の営業を経験し、雑談力を武器に独自の営業スタイルを確立。その後、リコーでクラウドソリューションの海外マーケティングを担当し、海外支社に対して商品立ち上げや販売施策を展開。学生時代はオランダで10年ほど過ごした帰国子女。趣味はバドミントン(社会人大会に出場)とスノーボード。

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