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“温度感のズレ”で失注する営業 vs 共感で刺す営業

商談プレゼンで相手を動かす、“察し”の技術と3つの視点。

最終更新日:2025年8月26日


ズレたまま突っ込むプレゼン、してませんか?

たとえば、あなたがとても熱を込めて提案した企画書が、
思ったより響かず、あっさり「検討します」と言われて終わったとき──。
その原因、もしかすると“温度感のズレ”かもしれません。

「相手はそこまで困ってなかった」
「こっちが思っているほど、相手はそのテーマに関心がなかった」
そんな温度感のギャップがあるまま、提案に突っ込んでしまえば、
どれだけロジカルでも、どれだけ良い資料を作っても、スルーされるのは当然です。

この“温度感のズレ”を避けるには、
プレゼンに入る前の時点で、しっかりと「相手の状態を察する」こと。
そして、“今どこまで踏み込んでいいのか?”の見極めが欠かせません。


相手の「今の関心ごと」を見極める

人は、常に自分にとっての“優先事項”を無意識に選んでいます。
どれだけよくできた提案であっても、
それが「今の自分にとって重要じゃない」と感じられた瞬間、
心はシャッターを下ろしてしまいます。

だからこそ、「相手はいま、何に頭を悩ませているのか?」
「このプレゼンは、相手の“今”にどう引っかかるのか?」
を、
事前に感じ取り、言葉にしてみる。
そのひと手間が、相手の注意を引き寄せる“共感のフック”になります。


プレゼン冒頭に「共感のひとこと」を

効果的なのは、プレゼンの冒頭に添える、たった一言の“共感”。
「御社の●●という課題、いろんなお客様からも最近よくお聞きしていまして──」
「私たちも別の案件で、似たような状況に直面したことがありまして──」
こうした一言があるだけで、「この人、ちゃんとわかってくれているな」と感じさせることができます。

この“わかってくれてる感”は、プレゼン全体の聞かれ方を大きく変えます。


“察し力”を鍛える3つの視点

では、どうすれば「今、この人にとっての関心ごと」は見えてくるのか?
プレゼン前の“察し”を助けてくれる、3つの視点をご紹介します。

① 直近の変化を拾う

  • 会社のプレスリリースやニュースリリース
  • 担当者の部署異動や役職変更
  • 業界の制度改正やトレンドの変化

こうした“最近の変化”は、
相手の関心が集中しているテーマと重なっている可能性が高いです。
プレゼンの文脈に絡めるだけで、ぐっと話が入りやすくなります。

② 相手の立場を想像する

その担当者は、いま社内でどんなプレッシャーを受けているのか?
決裁者としての責任、プロジェクト推進の悩み、部下の育成──。
その立場に立ってみれば、「いま、この話題は響かないな…」
あるいは「これは、この人に刺さるはず!」という判断がつきやすくなります。

③ 仮説トークで“さぐる”

「他社さんでは最近、○○が課題になってきているようですが──」
「こういった点、もし御社でも気になるようでしたら…」
こうした“さぐり”のトークをプレゼン前に交えておくことで、
相手の温度感をより正確に掴めるようになります。
ポイントは、押しつけではなく、“可能性”として投げかけることです。


プレゼンを、“相手と一緒につくる”場に

共感は、プレゼンを「説得の場」ではなく、「共創の場」に変えてくれます。
相手の温度感に寄り添って話せば、提案の一方通行ではなく、
自然と「それならこういうやり方もあるかも」といった会話が生まれてきます。
「伝えたいこと」だけで押し切るのではなく、
「今、この人に届く語り方(=伝え方)」を探す。
それが、“共感で刺す営業”の本質です。

この記事を書いた人

渡辺 純

 

リコーが運営するオウンドメディアの編集長。

『RICOHビジネスクラウド:アポ取り』のプロダクトマネージャー。


新人の頃はリコージャパンで新規開拓の営業を経験し、雑談力を武器に独自の営業スタイルを確立。その後、リコーでクラウドソリューションの海外マーケティングを担当し、海外支社に対して商品立ち上げや販売施策を展開。学生時代はオランダで10年ほど過ごした帰国子女。趣味はバドミントン(社会人大会に出場)とスノーボード。

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