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新規プロジェクト担当者、必読! #01

「このプロジェクト、何が“売り”なの?」に即答するための“価値の型”

営業トークにも活用できる、シンプルで強い“価値”の伝え方。

最終更新日:2025年6月17日

「このプロジェクト、何が“売り”なの?」に、あなたは即答できるか

新規プロジェクトを社内で立ち上げたとき、

あるいはVOC収集のためのヒアリングで顧客にプレゼンしたとき——

「で、それって結局、何が強みなんですか?」

そう聞かれて、言葉に詰まってしまった経験はありませんか?
これは決して“あなたの企画に魅力がない”からではありません。
むしろ逆なんです。

多くの新規プロジェクトは、
価値を詰め込みすぎて、何をどう語ればいいか分からなくなってしまう」
そんな罠に陥りがちなのです。

VOC(Voice of Customer)とは?
顧客の声(Voice of Customer)の略。製品やサービスに対する不満・要望・期待など、顧客から直接または間接的に得られる意見や反応のことを指します。新商品開発や改善、カスタマーサクセスの重要なヒントとなるため、マーケティングや営業、開発現場でも注目されています。


価値はある。でも、それを語る言葉がない

  • 機能はある。技術的な強みもある。
  • 市場ニーズも掴んでいるし、導入効果だって想定済み。

でも——「それって、つまり何が“売り”なのか?」を聞かれたとき、
言葉がバラバラと手のひらからこぼれ落ちてしまう。
それは、価値が「点」でしか存在していないから
点のままでは、相手に届きません。“線”にして届ける必要があるのです。
その線をつくるのが、「価値の型」です。


USPの前に、「型」を持とう

USP(Unique Selling Proposition)という言葉があります。
USPは、ビジネスにおいて
“選ばれる理由”を端的に伝えるための、いわば“旗印”のようなもの。

ただし、USPは決していきなり“閃く”ものではありません。
その前に、「価値の要素」を整理し、まとめる“型”を知っておく必要があります。

USP(Unique Selling Proposition)とは?
「なぜその商品・サービスを選ぶべきなのか」を一文で伝える“独自の価値提案”のこと。競合と比べたときに際立つ「違い」や、「お客様にとっての強み」を凝縮した一言です。たとえば、「●●だから、私たちが選ばれる」と説明できる言葉が、それにあたります。


即答できるようになる「3つの価値の型」

【型①】 ベネフィット型

「◯◯で困っている人が、△△できるようになる」

例:
「営業が苦手な若手社員でも、“自然な会話”からアポを生み出せるようになる」
「オンライン商談で空気がつかめない営業担当者が、“話しやすい入口”を自動で作れるようになる」

  • “誰の”困りごとに
  • “どんな変化”が起きるか

→ 最もシンプルかつ本質的な伝え方

【型②】 比較型

「従来の◯◯と比べて、□□が決定的に違う」

例:
「従来のメール営業と違い、“今、話を聞く理由”を先に伝えることができる」
「従来のリスト営業と比べて、“実際に温度がある人”だけとの接点をつくれる」

  • 差異化要素を明確にできる
  • 「何が新しいのか?」を直感的に伝えられる

→ 競合が多い市場で効果的

【型③】 変化(Before→After)型

「これまで◯◯だった状況が、□□に変わる」

例:
「“どう話しかけていいか分からない”という不安が、“自然に返事が返ってくる”自信に変わる」
「『アポのお願いが苦手で放置していた』が、『毎週2件、自然にアポが取れる』に変わる」

  • 相手の想像力に訴える
  • ストーリー性や感情移入に強い

→ プロジェクトの“体験価値”を語るときに有効


どの型を使えばいいか?

答え:どれでもいい。重要なのは“自分にとって自然な型”を使うこと。

  • ロジック型が得意なら【ベネフィット】
  • 比較がはっきりしているなら【比較】
  • ストーリーで魅せたいなら【変化】

あなたが「言いやすい」と思う形が、伝えやすい形になります。

プレゼンの冒頭でも、営業資料の見出しでも、
まずはこの一文を“口に出して”言えるようにしてみてください。
一度、自分のプロジェクトに当てはめて書いてみると、
思っていたよりもずっと、「伝えられる言葉」が見えてくるはずです。
それだけで、相手の耳が“こちらを向く”感覚が得られるはずです。


語れる言葉があるだけで、未来は動き出す

「価値があるけど、伝わらない」から、
「価値がある、それがしっかりと伝わる」へ。
その最初のステップが、“即答できる一文”を持つことなんです。
この一文があれば、上司へのプレゼンも、営業資料の見出しも、
ユーザーヒアリングの冒頭も、すべてがスムーズになります。
それは、相手の脳に“わかりやすいフック”が生まれるから。
「で、何が売りなの?」に対する答えに詰まったあなたも
“型”を使えば、必ず答えられるようになります。

「このプロジェクト、何が売り?」

この問いに、今日から自信を持って答えられる自分に出会ってください。

この記事を書いた人

渡辺 純

 

リコーが運営するオウンドメディアの編集長。

『RICOHビジネスクラウド:アポ取り』のプロダクトマネージャー。


新人の頃はリコージャパンで新規開拓の営業を経験し、雑談力を武器に独自の営業スタイルを確立。その後、リコーでクラウドソリューションの海外マーケティングを担当し、海外支社に対して商品立ち上げや販売施策を展開。学生時代はオランダで10年ほど過ごした帰国子女。趣味はバドミントン(社会人大会に出場)とスノーボード。

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