
初回リモート商談で空気をつかむ、上手いアイスブレイクとは
画面越しの“第一声”で、商談のスタートからグッと距離を縮める。
最終更新日:2025年6月17日
「オンラインの“間”って、ほんと難しい…」
「初回のリモート商談って、どうしてこんなに硬いんだろう?」
そんなふうに感じたことはありませんか?
リアルな対面と違って、画面越しでは空気感が読みづらい。
相手の表情も、間の取り方も、音声のタイムラグひとつで変わってしまう。
そして、冒頭数分の“気まずい空気”が、
そのまま商談全体に影響してしまうことも、少なくありません。
リモート時代の営業において、最初の一言──いわゆる“アイスブレイク”は、
かつてないほど大きな意味を持つようになりました。
なぜ「アイスブレイク」が今、重要なのか?
リモートでの商談は、
- 相手の温度感がわからない
- 世間話がはさみにくい
- 無言が怖い
- 緊張が伝わってしまう
など、“空気のギャップ”が生まれやすい構造になっています。
だからこそ、商談の“最初の数分”で、
相手の警戒心をやわらげられるかどうかが、
後半の流れを決めるといっても過言ではありません。
これは決して、笑わせようとか、ジョークを飛ばそうという話ではありません。
大切なのは、「この人、話しやすそうだな」と、ほんの少し思ってもらう。
そのための“あいさつ以上、雑談未満”の一言を用意しておくこと。
それが、リモート時代の営業における“見えない名刺”なのです。
今すぐ使える、アイスブレイクの5つのヒント
ここでは、営業や商談の現場で
実際に使えるアイスブレイクの例を、5つに分けて紹介します。
どれも特別なスキルは不要。準備しておくだけで自然に使えるネタばかりです。
① 背景や小物をきっかけにする
「後ろに飾ってあるあの写真、すごく素敵ですね。旅先ですか?」
「あ、そのマグカップ…○○のやつですよね?僕も持ってます!」
カメラに映っている背景や相手の持ち物など、
“相手の世界”に目を向けるひとことは、意外と会話のきっかけになります。
無理に褒める必要はありません。
「それ、ちょっと気になっちゃいました!」のトーンで十分。
② 季節や天気の話題でゆるく入る
「今日、すごく暑いですよね。そちらはどうですか?」
「この時期、花粉とか大丈夫ですか?」
この手の話題は、無難とはいえやはり王道です。
あらためて言うまでもありませんが、リモートでの“入り”には非常に効果的。
相手の反応も引き出しやすく、話しやすさにつながります。
③ 時事ネタ・業界トピックで共通言語をつくる
「今朝のニュースで◯◯の話題出てましたけど、業界的に影響ありそうですか?」
「最近このあたりの話題、よく出てきてますよね」
“あなたと同じ世界を見ていますよ”というメッセージが、
商談の出だしに安心感を与えてくれます。
ただし、政治・宗教・センシティブなニュースは避けるのが無難。
④ 自分に関する話題をちょっとだけ話す
「御社のすぐ近くにあるラーメン屋さんによく通ってまして」
「実はリモートがちょっと苦手で、瞬きするのを忘れちゃうんです(笑)」
“人となり”が伝わる軽いエピソードは、相手との距離をぐっと縮めてくれます。
雑談ネタは、商談の流れとは別に“1つストックしておく”のがおすすめです。
⑤ 共有のツールやシステムを話題にする
「いつもTeamsが多いので、今日はZoomなので新鮮です」
「このバーチャル背景、意外と使いやすくて気に入ってるんです」
同じ場を共有している、という前提を活かすパターン。
ツールにまつわる話題は、相手も話しやすく、共通点が生まれやすいです。
アイスブレイク成功・失敗の“リアル”な事例
成功例:背景の“ポスター”がつくった会話の突破口
ある営業担当者は、相手企業のWebサイトを事前にチェックし、
背景に映っていた社内ポスターに軽く触れてみたそうです。
「あのデザイン、すごく印象的ですね。社内で制作されてるんですか?」
そこから雑談がはじまり、相手が緊張をほぐして笑顔になったことで、
その後の商談もスムーズに。
“アイスブレイクで空気が変わる”を実感した瞬間だったそうです。
失敗例:ムリな笑いは逆効果!ぎこちない小話の失敗
ある営業担当者が、初対面のリモート商談で、
「ウチのチームも最近AI使ってるんですけど、
逆にチームのメンバーが頭悪くなってる気がして…(笑)」
とウケを狙った軽いジョークを冒頭で放ちました。
しかし、相手の表情は曇り気味。
実は相手企業ではAI活用に全社的に取り組んでおり、
この“冗談”が皮肉に聞こえてしまったようでした。
「面白いことを言わなきゃ」という背伸びもプレッシャーも必要ありません。
アイスブレイクの目的は“笑いを取ること”ではなく
“話しやすい空気”をそっと作ることです。
空気をやわらげる一言は、“自分のため”でもある
最初の数分で“やりづらさ”を感じると、話す側も自然と構えてしまいます。
アイスブレイクは、相手のための配慮であると同時に、
話す自分自身の緊張を和らげるための儀式でもあるのです。
流暢な話術を見せつけなくていい。すごくウケる雑談でもなくていい。
ちょっとだけ相手を見て、ちょっとだけ自分のことを開いて、
ほんの一言で、画面越しの空気は変えられる。
その感覚が、リモート商談の第一歩のハードルを少しだけ下げてくれます。