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新規プロジェクト担当者、必読! #06

30秒で相手の“本気”に火をつける、エレベーターピッチの極意

わずかなチャンスに一言で心をつかむ!30秒ピッチの伝え方・つくり方。

最終更新日:2025年9月2日

そもそも、エレベーターピッチって何?

エレベーターピッチとは、
もともとスタートアップ企業が投資家に向けて行う超短時間プレゼンのこと。
「偶然エレベーターで乗り合わせた
30秒でほどの時間で、相手の興味を引く」という状況を想定して、
端的に魅力を伝える技術として広まりました。

この“30秒のつかみ”は、一般的な営業トークにももちろん応用できますが
社外に対してだけだけでなく、社内の巻き込みにも抜群に効きます。

たとえば──

  • 忙しそうな上司に、新しい企画の趣旨を一言で伝える
  • 他部署の協力を得るために、今やろうとしているプロジェクトの価値を共有する
  • 社内プレゼンや共有会の冒頭で「なるほど、聞いてみよう」と思わせる空気をつくる

そんな瞬間こそが、言ってみれば
社内の“投資”を引き出すピッチチャンスなんです。

エレベーターピッチとは?
スタートアップや新規事業担当者が、投資家や決裁者に向けてごく短時間で行うプレゼンのこと。語源は「エレベーターで乗り合わせたわずかな時間(約30秒)」で相手の興味を引くことに由来する。要点を簡潔に、かつ魅力的に伝えるための構成技術として、社内説明や営業現場でも応用される。


ピッチの目的は、“全部を話す”ことじゃない

誤解されがちですが、エレベーターピッチの目的は
「内容をすべて伝える」ことではありません。
むしろその逆で、「続きを聞きたくなる状態をつくる」ことこそがゴールです。

説明を始めた瞬間、相手の目が泳ぐ。
「長くなりそうだな」「これ、今聞くべき話?」という空気が流れる。
そんな経験があるなら、それは“構造”の問題です。

本当に刺さる30秒には、“圧縮された説明”ではなく、
“相手が乗ってきたくなる一言”があるはずなんです。


社内巻き込みに効く!エレベーターピッチの基本構成

というわけで、
『アポ取り』流・社内向けエレベーターピッチの型をご紹介しましょう!
文字数にすると概ねの目安は150文字以内。
一般的にニュース等のアナウンサーの話す原稿の文字数は、
1分間に300文字と言われているので、まさにその半分ですね。
30秒の中に下記の5つの要素を上手にまとめてみてください。

【30秒ピッチに必要な5要素(目安:120〜150字)】

① 自分の立場/関わり
② いま感じている課題や違和感
③ その課題にどう取り組もうとしているか(アプローチ案)
④ 取り組みの目的や期待される効果
⑤ “だから今、これをやる意味がある”という一言

▶ 例:新規プロジェクト企画を通すためのピッチ

「営業企画チームの〇〇です。
今、案件管理が属人的で、社内での進捗把握が難しいという課題を感じています。
そこで、現場でも使いやすい簡易なCRMのプロトタイプを試作していて、
まずは一部部署で小さく運用テストする準備を進めています。
この仕組みで、案件の属人化を減らしつつ、次の受注予測にも活かせるようにしたいんです」

▶ 例:営業部への巻き込みを狙ったピッチ

「企画側の人間として、最近営業現場での案件共有がスプレッドシート頼りで、
情報の取りこぼしが増えていると感じています。
営業の負担を増やさず、自然に共有できるツール連携の仕組みを、今ちょうど整理していまして、
来月から社内でテスト導入するので、ぜひ現場の声をもらえたらと!」

→ ポイントは、“共感”と“具体性”を両立させること
相手の時間を奪わず、「それ、自分にも関係あるかも」と思わせる構成を心がけましょう。
抽象的すぎるとスルーされ、詳細すぎると途中で脱落されます。
30秒ピッチのコツは、“自分ごと化させる最小構成”に尽きます。


営業現場でも、エレベーターピッチは使える!

そして、冒頭でも少し触れた通り、
この技術は、当然ながら社外のクライアントとの接点でもとても有効です。

  • なかなかアポの取れない担当者と、偶然エレベーターで鉢合わせたとき
  • 訪問先で紹介された決裁者に、わずかな時間で印象を残したいとき
  • 商談の冒頭で「なんとなく話しにくい空気」を打破する“入り口の一言”に

「ちょっと聞いてみたい」と思わせる一言があるだけで、
その後の関係性や相手の接し方がガラリと変わるはずですよ。


NGピッチの典型例:「長い」「主語がない」「温度感を無視」

逆に、失敗しがちなピッチの特徴を見ておきましょう。
上手くいかないピッチには以下のような3つのNGポイントがあります。

  1. 説明が長く、結論が見えない
     →「で、何が言いたいの?」と言われてしまう
  2. 主語(誰が/誰に)が曖昧
     →「あなたがやるの?それとも誰かに言ってるの?」
  3. 相手の“温度感”を無視してる
     →「いま、それを言われても…」となりやすい

30秒という制限は、むしろこの3つを抑える最高のツールです。


相手が“続きを聞きたくなる一言”を仕込もう

30秒ピッチの目的は、“納得させること”ではありません。
目的は、“ちょっと詳しく聞かせて”と言わせること。
つまり、次の会話を生む“火種”を仕込むことなんです。

社内プロジェクトの巻き込みも、営業現場での突破口も、
最初の一言しだいで、未来は変わります。
「その30秒」のチャンスに備えておくだけで、状況は大きく変わるはずです!

この記事を書いた人

渡辺 純

 

リコーが運営するオウンドメディアの編集長。

『RICOHビジネスクラウド:アポ取り』のプロダクトマネージャー。


新人の頃はリコージャパンで新規開拓の営業を経験し、雑談力を武器に独自の営業スタイルを確立。その後、リコーでクラウドソリューションの海外マーケティングを担当し、海外支社に対して商品立ち上げや販売施策を展開。学生時代はオランダで10年ほど過ごした帰国子女。趣味はバドミントン(社会人大会に出場)とスノーボード。

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