ブログ記事『バリュープロポジションってどう作るの?』のイラスト

新規プロジェクト担当者、必読! #09

バリュープロポジションってどう作るの?

価値の本質を“伝わる一文”に変える言語化術。

最終更新日:2025年9月18日


「このプロジェクト、何がすごいの?」に答えられますか?

社内で上司に聞かれたとき、
あるいは社外の営業先でふと尋ねられたとき──

「で、これは他社のものとどこが違うの?」
「おもしろそうだけど、何が“ウリ”なの?」

こう聞かれて、一言でスパッと答えられる人は案外少ないのではないでしょうか。

サービス内容は説明できる。
もちろん、ターゲットとなる顧客ニーズも十分理解している。
でも「だから何がこれの価値なの?」と聞かれると、上手く言葉で説明できない。

それは、あなたのプロジェクトに価値がないのではありません。
きっと“価値の核”が、まだ言語化されていないだけなのです。


バリュープロポジションとは、「価値の設計図」

そんなあなたに、ぜひ取り組んでみていただきたいのが
バリュープロポジション(VP)をつくることです。
バリュープロポジションとは、「誰の」「どんな課題に」「どう応えるか」を、
たった一文に凝縮した、いわば“価値の設計図”です。

言い換えれば──

  • 独自性(Uniqueness)
  • ベネフィット(Benefit)
  • 対象(Target)

この3つを、1行で言えるか?
ここに挑むのが、VPづくりです。

バリュープロポジション(Value Proposition)とは?
「自分たちが、誰に、どんな価値を、どう届けるか」を1文で表現したもの。
マーケティングや事業開発において、自社の独自性と顧客価値を言語化する重要な思考フレーム。

USP(Unique Selling Proposition)との違いは?
USPは「独自の強み」にフォーカスするのに対し、VPは「誰にとっての価値か」まで含めて表現する“文脈重視型”の設計図。


たとえば、こんな「伝わる一文」

いくつかの例で見てみましょう。

  • 「現場で即使える、入力不要の自動CRM」
     →(誰に)忙しい営業現場/(どう違う)入力不要/(何が得られる)すぐ使える
  • 「非エンジニアでも使える、AI活用の自動レポート生成ツール」
     → 特定のスキルを持たない人でも“自走できる価値”を提示
  • 「“会議を短くすること”だけに特化したチーム向けメモアプリ」
     → 差別化された用途+具体的ベネフィットが浮き彫りに

どれも、単なる機能説明ではなく、
使う人の感情・状況に寄り添った価値の提示になっているのがポイントです。


VPづくりの3ステップ:誰でもできる“価値の言語化”

「なんだか難しそう・・・」「自分にはムリかも」
そう思う人もいるかもしれません。
でも実は、VPは“考える順番”さえつかめば、誰でも形にできるんです。

STEP1:顧客の“困りごと”を描く

  • 「時間がかかって困っていること」
  • 「モヤモヤしている習慣やプロセス」
  • 「あきらめていたけど、できたらうれしいこと」

  → 感情を伴った“あるある”を拾っていくのがコツです。

STEP2:自分たちの“強み・らしさ”を棚卸す

  • 競合にはない視点ややり方
  • 技術力・提供スピード・サポート体制など
  •  小さな違いでも「それが嬉しい」が価値になることも

  → “自分たちのクセ”こそが独自性。それをあえて言語化する勇気を。

STEP3:「〇〇な人に、△△できる□□」で仮言語化

  • 「リモートワークが多い中堅チーム向けに、“空気がつながる”Slack運用キットを提供」
  • 「意思決定に時間がかかる組織に、30秒で通せるエレベーターピッチ構文を設計」
  • 「営業が苦手な非営業職でも、“関係性から入る”営業テンプレを提供」

  → 最初は雑でもいい。主語と価値が並んだ一文をつくってみましょう。


「誰のために」を意識すると、言葉の熱が変わる

バリュープロポジションは、企画書のための“見出し”ではありません。
相手に届けるための“温度”のある一文です。

たとえば、「社内の◯◯さんに、これ絶対刺さるはず!」
「あの営業部長も、“この言い回し”なら納得するかも」
「現場のあの人にとって、“助かる”が伝わるには?」
といった具合に、相手の思考やニーズ、立場を映した言語化がカギ。

そんなふうに、“届ける相手”が具体的になった瞬間、
きっと言葉の輪郭がシャープになり、熱量が一気に上がるはず。


営業にも応用できる「価値の核」の思考法

実はこの“価値の核”の考え方、
新規プロジェクトや企画担当者だけではなく、営業トークにもそのまま活用できます。
競合他社との差別化ポイントを上手く言語化できない、
なんだか顧客のハートに想いが届いていない気がする…
──そんな壁に当たったとき、VP的な一文があると、営業トークの「芯」が通るはず。

「価値を翻訳する」の前に、「価値を発掘する」──
それが、提案に本物の説得力を生むんです。

バリュープロポジションは、独自性×ベネフィット×対象の“1行表現”。
最初から完璧をめざす必要はありません。
まずは“雑でもいいから書いてみる”が出発点。
その一文があれば、資料が変わる。プレゼンが変わる。営業が変わる。
そして何より、自分たち自身が「何を大事にしているか」に気づくはずです。

この記事を書いた人

渡辺 純

 

リコーが運営するオウンドメディアの編集長。

『RICOHビジネスクラウド:アポ取り』のプロダクトマネージャー。


新人の頃はリコージャパンで新規開拓の営業を経験し、雑談力を武器に独自の営業スタイルを確立。その後、リコーでクラウドソリューションの海外マーケティングを担当し、海外支社に対して商品立ち上げや販売施策を展開。学生時代はオランダで10年ほど過ごした帰国子女。趣味はバドミントン(社会人大会に出場)とスノーボード。

プロフィール画像