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営業資料が変わる!SPIN×FABで“価値を語る”テクニック

機能を語るな、価値を語れ。資料を“刺さる”構成に変える方法とは。

最終更新日:2025年10月30日


「で、何がどう良くなるの?」に答えられていますか?

プロダクトの特徴、豊富な実績、ユーザーの声…
いろんな要素を詰め込んで、営業資料をつくった。

でも──

「で、結局うちにとって何がどう良くなるの?」

この問いに詰まってしまうようでは、どんな資料も“説明止まり”になってしまいます。

資料は「見せるためのもの」ではなく、
「相手が自分ごととして捉えられる設計」にするもの。
そこで力を発揮するのが、
SPIN話法とFAB話法を組み合わせた“価値の構造化”テクニックです。


なぜ営業資料は「製品説明」になってしまうのか?

情報を詰め込んでも、伝わるとは限りません。
その原因の多くは、「自分視点」で語ってしまっているから
たとえば…

  • 「高性能CPU搭載」「24時間対応」
  • 「導入社数2,000件突破」「安心のサポート体制」

これらは確かに強みですよね。
でも、“誰にとって、なぜ嬉しいのか?”が抜けていると、
ただの機能列挙で終わってしまう


SPIN × FAB:営業資料に“相手視点の価値”を仕込む

こういった「伝わらない資料」に陥らないための視点が、
SPINとFABをミックスするテクニック。

✅ SPIN話法:相手の課題を構造化する

項目

内容

目的

S(状況)

現在の状態・背景

文脈を共有する

P(問題)

直面している課題

潜在ニーズを明らかにする

I(示唆)

放置した場合の影響

危機感・優先度を高める

N(効果)

解決後の状態

実現する未来をイメージさせる

✅ FAB話法:製品の“価値変換”をする構成

項目

内容

F(Feature)

製品・サービスの特徴

24時間稼働

A(Advantage)

特徴による利点

対応の遅延リスクを削減

B(Benefit)

相手が得られる価値

顧客満足度向上、CS工数削減

SPINで「なぜ必要か」を腹落ちさせ、
FABで「だからこそこのサービスなんです」とつなげる。
これが“資料で価値を語る”基本構造です。


“刺さる資料”をつくる3つのステップ

ステップ1:冒頭に「あるある課題」で共感をつくる(SP:S〜P)

  • 「最近、対応スピードが求められるシーンが増えていませんか?」
  • 「担当者に依存していて、属人化が進んでいませんか?」

→ 相手の状況・課題に寄り添い、“自分の話だ”と思わせる導入

ステップ2:「そのままだと困る未来」を示す(SP:I)

  • 「最近、対応スピードが求められるシーンが増えていませんか?」
  • 「担当者に依存していて、属人化が進んでいませんか?」

→ 相手の状況・課題に寄り添い、“自分の話だ”と思わせる導入

ステップ3:FAB構成で自社サービスを語る(F→A→B)

  •  F:「当社サービスは、24時間365日対応可能です」
  •  A:「これにより、夜間や休日の問い合わせにも即対応できます」
  •  B:「結果として、CSチームの負担が減り、顧客満足度の向上につながります」

→ 機能の“先”にあるベネフィットまで描けると、説得ではなく共感が生まれる


資料は“伝える”から“気づかせる”へ

営業資料は、「価値」を翻訳する装置である、と考えてみてください。

  • 機能やスペックは“語るべきもの”ではなく、“価値を届ける手段”
  • SPINで相手の課題に共感し、FABで価値に翻訳する
  • 相手が「これ、自分の話だな」と思ったとき、資料は“動機をつくる”ツールになる

営業資料が刺さらないのは、情報が足りないからではありません。
相手が“自分に関係ある”と感じられない構成になっているから。

SPINで相手の背景と課題を浮き彫りにし、
FABで「だから、これが自分にとって価値がある」と納得させる。
その組み合わせが、営業資料を“ただの説明”から“共感装置”に進化させるのです。

この記事を書いた人

渡辺 純

 

リコーが運営するオウンドメディアの編集長。

『RICOHビジネスクラウド:アポ取り』のプロダクトマネージャー。


新人の頃はリコージャパンで新規開拓の営業を経験し、雑談力を武器に独自の営業スタイルを確立。その後、リコーでクラウドソリューションの海外マーケティングを担当し、海外支社に対して商品立ち上げや販売施策を展開。学生時代はオランダで10年ほど過ごした帰国子女。趣味はバドミントン(社会人大会に出場)とスノーボード。

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